弱虫標本

Specimen of cowards
Mixed media
1855×2555×147mm
Jan.2013

日本語で「弱虫」という言葉がある。
自分や他者の中にある、あらゆる形での「弱さ」と呼ばれている物を架空の虫の形で表現した。

修了制作を進める時期になり、私に出来る表現とは何だろうかと考えた際、自分の性格が「人一倍臆病である事」に着目した。

幼いころより人間関係で悩む事が多く、嫌われないように周囲の人の顔色を伺う癖があり、
自分の意思を他者に表示する事を恐れて他者に合わせる事が多かった。

「作品制作」という自己表現の行為を進める際にこういった自身の性格を非常にコンプレックスに感じていたが、
発想を転換させて、「臆病である自分にしかできない表現」を模索する方向で考えた。

場当たり的にふるまう心や、派手に見せようとする心、リスクを取れずに踏みとどまる心など、あらゆる観点からの臆病さを制作した。
作っていくうちにその臆病さもケースによっては大切であることに気づいたり、また自分を見つめる機会にもなった。

そして何よりも、作品を最後まで作り切ることができた。己の心や弱さと対話した成果である。

短所と思っていたものが思わぬ長所になる事を知ったきっかけであり、
また現在の私の作品制作のコンセプトにおいて重要なファクターとなっている。

I expressed all forms of "weakness" in myself and others in the form of fictitious insects.
When it was time to proceed with the completion production, when I wondered what kind of expression I could do, I focused on my personality being "more timid than anyone else."
Since I was a child, I often get bullied and have trouble with relationships, and I have a habit of asking the complexion of people around me so that I will not be disliked. There were many. When advancing the act of self-expression called "work production," I felt that my personality was very complex, but I changed my mind and tried to find "an expression that only I can do as a timid person." Thought.

It was an opportunity to learn that what I thought was a weakness became an unexpected strength, and it is an important factor in my current concept of work production.